頑固は50%良いし、50%悪いもの
- 作者: 岡田彰布
- 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
- 発売日: 2008/11
- メディア: 新書
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これね、密かに出版されてたのは知ってたんですけど、
あまりこういうのを読むのは好きじゃなくてね。
(終わってから弁解とか裏話とか聞くのは苦手な人間ですので。)
敬遠してたんですよ。
今晩、昔のヤフブロ時代の阪神ファンブロガーと呑む機会がありまして、
そこで、根っからの阪神ファンにして岡田彰布ファン、
さらにわたくしが野球観について(密かに、でも本当に)尊敬してやまないもっくんから、
この本を押し付けら・・・もといお借りすることができまして。
で、11時過ぎに解散しまして、そのまま私は独り別の呑み屋へ。
(注文したのは白のデカンタ500とミラノ風ドリア・・・呑み屋ちゃうがなサ○ゼ○ヤやがな)
そこで一気に読破しちゃいました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
とりあえず、岡田シンパも、アンチ岡田も。
阪神ファンであると自分で思ってる人は、必ず一度は読んでみてください。
立ち読みでもブックオフでもいいですから。
一般の阪神ファンであれば、きっと目から鱗の落ちるような箇所があるかと思います。
で、一読してみて全然ビックリも何もしなかった人!
あなたは、やっぱり岡田野球をある程度以上理解できていた人なんだと思います。
はっきり言いまして、このわたくしがそうでした。
最初から最後まで、1時間半で一気に読み通してしまいましたけど、
正直、新たな発見は全くありませんでした。
でも、それは04年から5年間、いやあるいは現役時代からの岡田彰布を見てきて、
わたくしの岡田監督観が、決して間違いじゃなかった!
というのを改めて強く認識することができたので、本当に読む価値があったと思います。
ただし、たった一つだけ、
そして、わたくしが岡田さんに訊きたかったただ一つのこと、
これに対する答えが、全然書かれていなかったのが、とっても残念です。
それはこのエントリで書いたこと。つまり、
「なぜ目先の1点を取りに行けなかったのか?」
ということ。
確かに岡田はこの本の中で、ディフェンシヴな野球の重要性について説いていて、
それはわたくしにも痛いほどよく理解できましたけど、
彼が理想とした「1対0の勝利」を実践するに当たって、
「そんならどうやって1点を取って勝つねん?」という疑問の答えについては、
ついにこの本のどこにもその答えが載っていなかった、そこが残念でなりません。
というより、そこが岡田野球の唯一にして致命的な欠陥であって、
結局岡田彰布がその答えを出せずじまいだったことこそ、
この3年中日や読売の後塵を拝した最大の理由であったと、わたくしは思うのです。
この本の中で、岡田はスクイズのサインを出さなかった理由について、
「スクイズを見破られることのリスクの大きさ」を挙げていました。
「次のボールでスクイズをやらねばならない、という選手のプレッシャーはエゲツナイものだ」、と。
しかし、はっきり言って、
「スクイズは絶対に出してこないという安心感を相手に与えた」
という損害のほうが、わたくしには大きかったような気がしてならないのです。
「次のボールでスクイズをやってくるかもしれない、というバッテリーのプレッシャーもエゲツナイ」
ということに、気付いて欲しかったなあと思うのです。
それは、今年のヤクルト戦を見ていて、
「高田はいつどこでスクイズを仕掛けてくるのか?」
という恐怖感を常に感じていたから、そう思うのかもしれませんけど、
少なくとも、スクイズという作戦、
「見破られてでも実行し甲斐のある手段だ」
というふうに、わたくし個人は考えるのですよ。
北陽の松岡英孝元監督が、スクイズを使わなかった監督だったかもしれません。
でも松岡先生の野球観はね、関西の野球ファンだったら、
ABCの高校野球中継で解説を佃煮にするほど聴きまくってるわけですから、理解してないつもりはないですよ。
確かに正攻法の野球、正々堂々が本当に好きな監督さんでした。
あの松井秀喜の5敬遠のときに、放送席で激怒した方ですよ。
でも、勝負どころでのスクイズ成功に対しては、
サインを出した監督にも、実行した選手にも賛辞を惜しまない先生でした。
それは松岡先生が、きっと自らこの場面で、スクイズを出す勇気がなかったわけで、
だからこそ、自分のできない采配に、そういう絶賛をなさっていたんだと思うのです。
岡田監督には、望むことならそこまで見通して欲しかった。
もう少し勇気を出した采配ができていれば・・・と思うと、
もっと勝ち星は増えていたんじゃないだろうか?
苦労して苦労して、胃やら心臓やらを痛めずに済んだ試合があったんじゃないだろうか?
そういうふうに感じます。
岡田彰布、49年の人生で初めて、
外部の目で阪神タイガースを、あるいは日本プロ野球を見る機会に恵まれたわけです。
必ずや、この機会を逃さず、新たな視野を獲得してほしいと思います。
間違いなく!7年以内に監督再就任の話は舞い込んできます。
そのときに、今年のような過ちは、二度と繰り返してほしくない。
切に、そう思うのであります。