尼崎女子王座・総括
まずは、お祭りが終わっちゃったなあという気分です。
昨日、阪神電車で帰ってきて晩飯食って、風呂に入ったときには、
なぜかこの6日間のレースがだいぶん昔のできごとのように思われました。
それだけ、見てるわたくしも集中してた、ってことなのかなあ。
まさみさんのお話についてはまた次回に書くとして、
ここではまず、今開催の総括をしたいと思います。
今年の女子王座で、何が良かったかと言って、大きな事故はもちろん、
未熟なスキルで起きた転覆や落水がほとんどなかったこと。
事故のあった周回以降が興ざめになるばかりではなく、
「だから女子レースはつまらないんだ」と揶揄する競艇ファンを出さなかった。
これはかなり評価していいと思います。
もちろん、春の嵐のような強風も吹くことがなく、水面も比較的穏やかだったことも幸いしましたが*1。
フライングは3本。昨年と比べて1本減ですが、その分出遅れが1件発生。
3日目は後半レースで有力選手がスタート事故を起こして売上げが2億程度減りましたが、
売上げの上がる週末にスタート事故が発生しなかったのは幸運だったと思います。
かと言ってダラダラスタートではなく、
賞典レースだけでなく敗者戦でもかなり踏み込んだスタート合戦が見られました。
特に、6人でフライング8本という満身創痍状態の準優勝戦12Rで、
ゼロ台スタートが4人という極限のスリット合戦が起こったレースはすごかった。
そういう意味では、今年の出場各選手のレベルは、
昨年までと比べて上がっているぞ、という印象は受けました。
出場できるボーダー勝率が上がったけど、それは女子選手の数が増えただけじゃないの?
という指摘が戦前にありましたけど、そうではないことが証明できたんじゃないでしょうか。
若手選手も、西村美智子・川邉加奈子は水神祭を挙げられましたし、
加藤綾は未勝利ながらも最後まで勝負駆けに加わりました。
既に出場経験のある宇野弥生・魚谷香織はF2というハンデをものともせず準優出し、
その準優でも外からゼロ台半ばの猛烈なスリットを決めて存在感をアピールしました。
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ただ、優勝争いとなるとさすがに歯が立たず。
結局優勝戦に進出したのは、戦前から有力といわれていた5名の選手と、
今期に入って優出ラッシュが続き好調だった新田芳美でした。
そしてその中でも、やはり横西の強さだけは完全に別格でした。
優勝戦は、横西を相手にして、もうほとんど他の5人が結託するような雰囲気。
谷川はスタート練習のときに何度も85m起こしのインを練習していましたし、
そのとき内に入ろうとしていた浅田に「入れて」と話をしていたのも見えていましたし。
ああ、完全にここの2人は話ができているなあ、
とにかく横西だけには優勝させたくない、という思いは5人とも持ってるんだなあ、と。
いわば「合従策」の甲斐あって?優勝したのは新田でした。
でも正直わたくしは、もうほとんど先輩たちに「いじめ」のような作戦を取られながら、
それでもインから先に回って、2着に入ったF2横西の凄まじいばかりの強さ、
もうこれにただただ、呆然とするしかありませんでした。
去年の津は、もう大会前からどう考えても優勝するだろうという雰囲気でしたけど、
今年はわたくしの目で、そこまでは思ってなかった。
もちろんF2だから、ということもありますけど、
第2グループ以下の底上げも多少はあるだろう、という期待感もあったんです。
でも、横西自身の実力が、もう去年とは全く違っていましたね。
結局は、自らヒール役を買って出た谷川里江が自爆テロをすることによって、
辛うじて独走Vにストップをかけることができたわけですけれど、
もうこれは、個人競技としての競艇では、
横西には誰も全く歯が立たないことの証明
でしかなかったように思います。
年度が替わって、また女子リーグが始まります。
大村のGI準優でフライングした横西は、秋までGIを走れなくなりますので、
今年は既に斡旋の入っている第1戦を皮切りに、F休みの明ける第5戦からしばらく
女子リーグに皆勤状態になることが予想されます。
今年の総理杯は結局権利が取れなかった横西のことですから、
早めに権利を確保するためにも、おそらく目の色変えて勝ちに来るでしょう。
逆にその他の有力選手は、今回目の前で凄まじい力を見せつけられて、
リーグを走る前から戦意を喪失してしまわないか、そこが大いに心配です。
したがってまことに遺憾ながら、優勝争いという意味では少々興ざめな開催が続きそうな予感。
それだけに、今年のリーグ前半戦に関しては、比較的高いモチベーションで戦うことのできる、
各開催場の「地元選手」に期待するしかないかな?と思っています。
下関は向井と佐々木、多摩川はやはり濱村、児島はもちろん田口と金田、大村は香川。
鳴門はそもそも横西の地元ですが(笑)。
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さて、優勝戦に話を戻しますが。
谷川里江の前付けには、2マーク付近に陣取っていた観客から一斉に
スタンディングオヴェーションが起きました。
浅田=新田の3・4コーススジと、山川=寺田の5・6コーススジで勝負していたわたくしも、
もうこの瞬間に舟券を取ったつもりでいたんですけど(苦笑)。
でも久しぶりに、ワクワクする女子レースを見たような気がします。
最近は外の選手が前付けに来ても、2・3コースの選手が先に進み出てコースを主張したために、
むしろインにとっては有利な隊形になってしまうケースが多くて、
穴党としてはむしろつまらなかったんですが、今回はそうじゃなかった。
山川に3日目ぐらいの行き足があれば、本当に5=6で決まる目がありましたしね。
海野・岩崎がリーグを卒業したこともあり、
現在のリーガーで、前付けを敢行する選手はほぼ皆無になりました。
進入がわかりやすくなっていい、という見方もあるでしょうけれど、
ぬるま湯のような現況の女子リーグの中でも、
多少は今回の谷川のような「進入争いでのヒール役」がいてほしいなあという気がしました。
まあ、真っ先にそういう役目を期待したいのは、例の姉妹ですけど(笑)、
特に姉には、レースの道中じゃなくて、進入でヒールな選手になってほしいですね。
あとはやっぱりインの強い選手でしょう。
最近のベテラン女子リーガーが前付けして来ない最大の理由は、
根本的にインが上手じゃないからなわけで、別にそんな先輩に倣う必要はないですから。
まだ若くても、田口あたりにはどんどん前付けやってほしいですし、
香川・永井・向井・金田といったところも、格上選手のプライドとして、
積極的にコースを狙って行って、文句を言われる筋合いはないと思います。
例えば若手がそれに抵抗してきたとしたら、その若手にとっても深いインの経験、
自分にとっても深い2コースから捌く経験ってことになりますし。
舟券的にも、捲り肌の外の選手が面白くなってきますしね。
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尼崎の女子王座、売上げ総額は目標の90億はもちろん、
おそらくは胴元・伊丹市の本音であった100億をもクリア。
浜名湖や津には及ばぬものの、まずは開催成功だったように思います。
尼崎競艇場はこのあと、尼崎市が主催でダービーが行われますが、
それに向けても弾みがついたのではないでしょうか。
ただし、初日の開会式については、極めて辛辣な意見を多数聞きました。
実際にわたくしが経験した限りでも、やはりステージの前での花束プレゼントゾーンは
かなり危険な状況でした。将棋倒しが起こっても不思議でない状態だったように思います。
尼崎には、ダービーに向けてさらに観客管理の向上を図っていただきたい。
そしてダービーが無事成功裏に終わったあかつきには、
必ずやそのお金で、大規模な施設改善を行なっていただきたいと思います。
もう親方日の丸でギャンブル経営が成り立つ時代は終わっているわけで、そういう意味では、
今回の開催は大失敗に終わって、尼崎にきついお灸でも据える結果になってくれないかと、
わたくしは密かに思っていたんですけどね。
まあでも幸か不幸か、女子競艇人気を裏付ける成功で幕を閉じまして。
今回は実際、レースの質も高かったですし、水神祭が全部で5つ出て盛り上がりましたし、
個人的にはこの1週間で1か月分の稼ぎ以上の金が減って、真っ青になってますけど、
でも何だか楽しかったです。いろんなファンの方とも会えましたしね。
東京から、中部から、九州から続々と尼崎へお越しになり、
わたくしと連係してくださったみなさまがた、
満足にお愛想することもできませんで、申し訳ありませんでした。
そして、本当にどうもありがとうございました。
これに懲りず、また尼でレースがあったときには、いらしてくださいませ。
そして各地で、わたくしを見かけましたらお話し掛けてくださいませ。
これからも、よろしくお願い申し上げます。
というわけで、次回はもちろん、永井聖美選手の女子王座について。
*1:バックストレッチだけでなく、1マーク側にもビッシリ横断幕が貼られていたのが、強風を防いだとの指摘もありました。