テレビと現地で落語三昧!

昨日の深夜、NHKの「かんさいミッドナイトセレクション」で
BSで放送された小米朝から米團治へ〜五代目桂米團治襲名披露〜」
再放送をやっておりました。


いやあ、BSってすごい企画をやるもんですなあ!
2時間番組の序盤に、襲名決定以降の小米朝さんの足跡をドキュメントで追い、
あとの1時間余りは、ほとんどノーカット南座での襲名興行の録画中継。


10月4日の京都南座公演ってねえ、
1等席6900円、2等席4500円という、落語会としては高嶺の花のチケットだったんですよ。
しかしその日のメインイヴェントである、東西噺家の口上米團治師匠の「百年目」を、
タダで全部見させてもらえるとは、夢にも思っとりませんでしたがな。


口上の席に居並ぶ師匠連の背景には、
「五代目桂米團治さん江 坂田藤十郎より」と書かれたあでやかな幕。
そして口上の後には、祇園の芸妓さんが多数登場して、「手打ち」の儀式(?)。
これがまたまことに華やか。
やっぱしあれ、テレビでタダで見るより7000円出して生で見たほうがええわ〜(笑)。


で、お待ちかねの「百年目」だったんですが・・・
ちょっと力が入りすぎていたような。
旦さんと番頭はん、あんな大きな声でしゃべってたら、店先にまで聞こえまっせ(笑)。


しかし上方落語始まって以来という絢爛豪華な襲名興行の初日に、
伝統芸能に携わるものならば誰もがあこがれる南座の大舞台で、
「数ある上方のネタの中でもいちばん難しい」米朝師匠もおっしゃる噺をかける。
そら緊張するはずですわ〜。


貧乏人のわたくしのひがみではないですが、
ああいう華やかなお祭りの場じゃなくても、米團治師匠は米團治師匠。
今度一回、小じんまりした落語会で、しっとりと師匠の「百年目」を聴いてみたいなあ。
そう思いました。


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さて、関西テレビが今秋から、月2〜3回、日曜日の早朝に落語番組を始めています。
・・・誰がこんな時間に起きてんねんという枠ですがorz


題して扇町寄席
桂南光師匠と月亭八光さんの司会で送る30分番組です。
「エブリデイ」が終了して、新春や夏休みの「エブリ寄席」もなくなったことで、
その代わりに新たに立ち上げた番組ですね。
よみうりテレビの「平成紅梅亭」や朝日放送の「なみはや寄席」同様、
関テレとして落語の映像を資料として残しておきたいという思惑もあるでしょうし。


今朝の一席は、桂きん枝師匠の「狸の賽」
バクチという緊張感のある場でのオマヌケな情景が、
師匠独特の柔らかさ、脱力感とマッチして、完成度の高い高座に仕上がっていました。
来週は南光師匠の弟子・桂こごろうさんの「阿弥陀池」だそうです。


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で、ここからが本題(笑)
今日は豊中の服部というところへ出かけていた(理由はヒミツ)んですが、
ちょうどそのついでにええわ、ってことで、
かねてから気になっていた落語寄席、「岡町落語ランド」におじゃましてみました。


この落語会、あの桂吉弥さんが世話役となって行っている定期寄席で、
今回は多忙な草原にいさんこそ欠席でありますが、その代わりに豪華な顔ぶれ。
聞けば木戸銭1500円という格安だったので、行ってみることに。


会場となる豊中市伝統芸能館の多目的ホールは、
定置の座席はなく座布団と最後列の椅子席のみという小じんまりとした客席ながら、
舞台設備はしっかり整っていて、さすが非営利のお上(しかもお金持ちの豊中市)のこしらえた施設(笑)。
キャパは最大120人ぐらいってところでしょうか。
今日の入りは40人程度。
収益にして6万円、演者5人で割って、やって行けるんやろか?


今回の演者・演目は次の通り。


桂二乗   「阿弥陀池
笑福亭呂竹 「近日息子」
桂阿か枝  「竹の水仙
(仲入)
桂まん我  「猿後家」
桂千朝   「天狗裁き


二乗さん(京都の二条在住)は師匠の米二さん譲りのスマートな芸風。
前座らしくテンポのいい口調で、米屋に盗人が入るくだりの会話はまるで漫才のよう。
心地よかったです。


呂竹さん(自称「出家した橋下府知事」)は、米朝門主宰の落語会に招かれて
アウェー気分を感じていると言いつつも、本題に入れば堂々と笑福亭の芸を披露。
笑えたのはアホ息子の阪大病院の一番偉い先生連れてきました〜」
豊中という土地柄入れたくすぐりでしょうか?でもそんな偉い人、往診なんか来るかいな(笑)。


中トリは阿か枝さん(滝野と城崎のハーフ)。
人前では侍口調で接するものの、
独白ではそこいらの町人と変わらぬベタベタ大阪弁の大槻玄蕃がかわいらしい。
わたくしこの噺、鶴光師匠ので聴いたことがあったんですが、
本来のサゲは今回やってた「呑み(鑿)口がしっかりしております」なんですね。一つ勉強。


まん我さん(11日夜に名古屋の大須演芸場で独演会開催)は米朝一門期待の若手。
わたくし上方落語ファンとして情けないことに、「猿後家」初めてだったんです。
タイトルと、文枝師匠の得意ネタだということまでは知ってたんですけど、
実際に聴くまでストーリーは知らないでおこうと思ってたので、全く新鮮な噺。
まん我さんの独特の風貌ともマッチして(笑)爆笑だったんですけど、
しかしえげつない失礼なストーリーですなあ・・・。


そして、トリに千朝師匠。
師独特のスローテンポな、じわっと笑いが滲み出る雰囲気の中に、
突如オーバーアクションが混じって、さすがのベテランの芸。
もう何度となく聴いた「天狗裁き」でしたが、それでも新たな発見があって面白い。


というわけで、
このラインナップで1500円、安い!
40人しか集まらないのは本当にもったいないと思えるほどでした。
どういうわけかこの落語会、上方落語情報フリーペーパー「よせぴっ」や、
寄席情報サイトねたのたねで紹介されておりませんで、そのためかな?
確かに空いてたら足を崩せるから楽なんですけど、どうせなら大盛況で見たいクオリティーですね。


お囃子さんも生演奏でやってらっしゃいましたので、
今度もしチャンスがあれば、はめもの入りのネタも聴いてみたいですし、
5席と充実しているので、うち1つぐらいは新作も聴いてみたいなあ。



そんなこんなで、久しぶりに落語ずくめの1日でした。
おなかいっぱいや〜!