彦八まつり土曜夕席「桂小米朝改め米團治襲名プレ公演」

ええ、忙しいですなあ。
松山行ったことも書かんといかんし、タイガース記事は報知放置しっ放しだし。
それでも今日は、彦八まつりの落語会のレビュー書かないと。土曜日のことですからね。
当日の生國魂神社の様子については前のエントリをご覧くださいませ。


午後3時に発売開始になる、夕席の当日券。
わたくしが生國魂さんに辿り着いた午後1時過ぎの時点で
「切符売るところはどこ?」とスタッフや噺家さんに尋ねてる人がチラホラいたはりましたが、
1時半ごろになって、やおら行列がスタート。
2時前にはあっという間に長蛇の列になってしまいました。
たぶん後ろのほうで並んでた方は、切符買えなかったんじゃないかと思います。


そして定刻の5時、始まりの太鼓が鳴りました。
わたくしはちょっと開演前にアクシデントがありまして、会場の中に入ったのは5時前。
参集殿の和室はもうギューギュー詰め
廊下にはモニターも設けられていて、部屋に入るのを諦めた人が座ってそっちを見てました。
せっかくなんでわたくしは部屋に身体をねじ込みまして、最後尾で立ち見


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さて、今回の「桂小米朝改メ米團治襲名プレ公演」、出演と出し物は次の通り。

桂 吉の丞 「子ほめ」
桂 団朝  「宗論」
桂 ざこば 「厩火事
仲入
出演者4人による座談会
桂 小米朝 「小倉船」

ヤサ男小米朝さんをトリに、前席を勤めるのが米朝一門の三大強面(笑)
元とび職の吉の丞さん・元ヤンキーの団朝さん・武勇伝数知れずのザコビッチ。
座談会の期待が高まるところです。


前座が吉の丞さん。故・吉朝師匠の末弟子です。
「子ほめ」は落語会に行ったら必ず聴くことができるようなネタですが、
サゲが噺家さんによって微妙に異なるのが面白いところ。
もちろん今回は師匠・吉朝流の「どうみても今晩ぐらいや」がサゲでした。
その吉朝師匠の子ほめはニコニコにもアップされてますよ〜。こちら。


続いては団朝さん。得意ネタである「宗論」です。
わたくし自身、これを生で聞くのは初めてなんですけどね。
仏壇屋の若旦那がクリスチャンになってしまって騒動が・・・というストーリー。
この噺を神社でやるのもどうか、という気がしなくもないですが(笑)、
宗教に対してズボラな人々の多い日本だからこそ、
落語としてみんな笑えるネタなんだと思います。
外人さんには怒られるかもしれませんが、
わたしゃ日本人ですから大いに笑わせてもらいましたですよ、ハイ。


そしてざこば師匠。体調はかなりお悪いんだそうです。お尻の調子が(笑)。
聞くからに痛そうなマクラで始まったわけですが、
噺が始まってしまえば、十八番である夫婦ゲンカものだから安心して聴いてられます。
遊び人の旦那への怒りが、次第にノロケに・・・
喧嘩が絶えないけど、やっぱり奥さんがないと生きていけないザコビッチワールド全開。
色気はあんまり感じないけど、かわいらしいお咲さん
何べん聴いてもおもろいですなあ。「物干しか?」「焼き芋か?」ってとこ特に。


仲入りが済んで、楽しみな座談会です。
米朝一門きっての武闘派3人(笑)に囲まれて、
思ったとおり小米朝さん、いじめられるいじめられる!
「10月の南座での襲名興行の口上の予行演習をしよう」ってことになって、
司会役の吉の丞さん
「え〜それでは、このたび月亭可朝を襲名することになりました〜」(爆)
#実は「桂小米朝」という名前は2代目で、先代はあの可朝容疑者(笑)なのです。


ざこば師匠も上機嫌で、米朝親子のことをボロカス言うてはりました。
初めて見た人はビックリしたかもしれませんけど、
米朝事務所の専務取締役」にして、米朝師匠の筆頭格弟子、
そして小米朝さんが中川明少年だった時分の「子守り役」という身分だからこその、
愛情表現だってことがほとんどの観客が知ってますので、やっぱり大爆笑の渦でしたよ。


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そしていよいよ、小米朝さんの落語。
前の3人がはめもののない噺だったので、是非はめもの入りのネタが聴きたいなあ
と思っていたら、期待通り!旅ネタ屈指の大ネタ・小倉船でした。
はめものがふんだん、アクションも多彩。江戸落語にはない、上方ならではの噺で、
これから上方の大名跡を継ぐ小米朝さんの意気込みが、このネタ決めだけでも感じ取れます。
わたくしこの噺、文枝師匠のCDでしか知らなかったのですが、
途中で随所にお囃子に合わせた踊りや仕草があるので、一度生で見てみたかったんです。
念願が叶いました。よかった〜!


やっぱり育ちですよねえ。本当に高座が華やかです。
フラスコを割って海溝へ投げ出されるシーン、フグワタ長安との立ち回り、
決して慣れ親しんで堂に入った手つき、というわけではありませんが、
伝統芸能上方落語の継承者としての自分の立場を噛み締めるというか、
われわれ観客の立場から見ると、新しい時代の旗手の登場を見守るというか、
そういったものが感じられて、実に堪能させていただきました。


無事に最後のサゲまで行ったあと、最後に締めの口上を述べられて、
喝采のうちに襲名プレ公演は終了。
2000円で大満足。本当に昼の暑い時間から並んで良かったです!
外に出ると、もうあたりは暗くなっていました。
お祭りはまだまだ続くよ、といった雰囲気でしたけど。


自転車で松屋町筋をえっちらおっちら。
ラジオつけたらまだ広島球場のデーゲームが続いてたので、それ聴きながら。
天神橋の手前のところで、延長12回、鳥谷が勝ち越し打を打って、
おうちに着いたときにちょうど試合終了。


何のかんのと、大満足の1日でした。
で、その晩遅くから、わたくしは松山に向けて、鈍行の旅を始めるのであります。