雀三郎みなみ亭・長講の巻

昨日、吉弥・かい枝の二人会を見に行けなかった腹いせに!?
さっそく今日落語会に行ってまいりました。
場所は、難波(というか法善寺)の「TORIIホール」。
演芸ファンには有名すぎるぐらい有名な場所なんですが、
ほとんど新米落語ファンのわたくしは初めてです。


雀三郎さん(通称「雀さん」)は、枝雀師匠の2番弟子。頭のてっぺんが師匠譲り(笑)。
世間的には何といっても有名なのがこれですよね。


ちょっとこれ後半の部分はしょってますけど。
つーかこれロケしてるの天満の駅前やん!(爆)
完全版が聴きたければこっち


芸風は師匠ほどアレンジすることなく、むしろ正統派の印象を受けます。
今一番脂が乗っている噺家さんと言っても過言ではありませんが、
上方落語協会員ではないため、繁昌亭の昼席ではお目にかかれないのです。


今回の落語会はなんと、前売り発売がなし。当日券のみで3,000円。
そして出しものは・・・

桂 雀太  「天災」
桂 雀三郎 「地獄八景亡者戯」
仲入
林家 染二 「近日息子」
桂 雀三郎 「らくだ」


地獄八景らくだ
たっぷりと全部語ればどっちも1時間超える噺です。
それを1日でしゃべるって・・・雀さんほとんど変態や(笑)。


どちらも上方落語屈指の知名度を誇る名作、そしてゲストに染二さん。
こんなんで客が集まらないほうがおかしい!
というわけで、早めに家を出まして5時前にはトリイホールに到着。


チケット窓口なんてものはなく、エレベーターで4階に上がると
既にお客さんがいっぱい並んでました。
ギリギリ椅子に座って並ぶことができましたが、後から後からお客さん来るわ来るわ。
あっという間に行列は階段に達し、
6時前には行列の最後尾が1階に達する勢いだったそうです。


トリイホールは100人入れば盛況、という小さなホール。
でも当然100席じゃ足りません。
パイプ椅子を後列に並べ、通路にも全部椅子を敷き詰めて、
最後列はびっしりと立ち見のお客さん。150人は優に超していたと思います。
後のほうで来たけど、諦めて帰ったお客さんもいるんじゃないでしょうか。
常連らしきお客さんが、興奮して
「今日はいったいどないなってんねん!?」と叫んだはりました(笑)。
あ、並んでる最中に係員の方が1個ずつ飴ちゃん配ってましたわ(上の写真)。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

さて、のっけは雀さんの3番弟子・雀太さん。
「天災」ちりとてちんでも登場して有名になりました。
ざこば師匠の十八番として知られています。
雀太さんが短気な方かどうかはわかりませんけど、なかなか性に合ってそうな噺でしたね。
「天をどついて鼻血降って来たらそこらじゅうマッカイケや!」に爆笑。


いよいよ雀さん登場。いきなり
「長講、いう言葉に騙されはった思いますけど、地獄八景かてそんなに長いことやりまへんで。
らくだかて米朝師匠がやったはるぶんまでで、最後まで行きまへんで。」

あ、やっぱりそうですか(笑)。ちょっと期待してたんですけどねえ。
ひょっとしたら「冷や(火屋)でええからもう一杯」まで行くんじゃなかろうかって。


地獄八景は、去年の秋が初演だったそうです(パンフレットより)。
この噺、随所に時事ネタなどを散りばめて客をくすぐるところに主眼があって、
今日はどんな趣向で来るかいな・・・というのが毎回の楽しみなんですが、
米朝師匠がやっておられたストーリーをほぼ踏襲していました。
今日に限っては、あんまり小ネタを入れすぎると何時に終わるかわからないですしね(笑)。


その中で、三途の川の手前の茶店の婆さんが、
お茶請けに毒入りギョーザ賞味期限切れの赤福餅を勧めていたのと、
「一芸ある者」のくだりで渾身の瞬間芸(これは実際見た人のお楽しみ)、これが最高。


あと、寄席の出演者のところで、「桂吉朝」と雀さんがおっしゃったときに、
客席から「ああ!」という嘆息が漏れたことをご報告しておきます・・・。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

仲入になりましたが、はっきり言ってトイレに行くことすら不可能(笑)。
それぐらい立錐の余地もない館内であります。


染二さんは今月はじめ、繁昌亭で
「6日間で18席」という壮大な公演を成功させた、今が旬の噺家さん。
わたくしもこれ観に行きたかったんですが・・・
女子王座とかぶってたので自重しました。
だから今日ここで噺が聴けるというのはとても楽しみだったのです。


パンフレットで小佐田定雄先生が書いておられた
「パワーアップしたハイテンション落語」、堪能させていただきました。
途中で「くやみ」を「いやみ」と間違えるトチリもありましたけど(爆)、
ますます染二さんの本領である大ネタが観たくなりました。
近日「辻占茶屋」を初演なさるとのことで、ちょっと興味そそられ中


そして、雀さん再登場。
今度は古くからの得意ネタで、わたくしも何度か聴いたことのある「らくだ」です。
見事に雀さんワールド。紙屑屋の前半の健気さがまずかわいい!
そして酒を呑むうちに豹変・・・でも根はやっぱり素直な人なんですよね。
最後はベロベロに酔いつぶれながらも、ちゃんと火葬場まで付き合ってやるという人の良さを、
存分に表現する雀さんの噺と表情がすばらしい。


長講もダレることなく、
本当に「気付いたら9時に終わりました」という印象。
存分に楽しませてもらった2時間半でありました。