第190回尼崎落語勉強会

今日は朝からお仕事してまして、3時ごろに園田競馬場へ。
でまあ順当にお金を減らしまして、そのあと無料護送バスでJR尼崎へ。
そこから20分ほどテクテクと歩いて、尼崎のアルカイックホールに行きまして、
今年最後の落語鑑賞をしてまいりましたですよ。


岡町落語ランドめいぷるごにんばやしの会と続いて、
またもや今回も米朝一門・若手主体の落語会。
別にそこばっかり狙って行ってるつもりはないんですが・・・。
今回は「勉強会」ということで、
7人登場して1300円というこれ以上考えられない超格安!
でも今旬の若手精鋭に混じって、米二師匠が(コーチ役も兼ねて?)参加されてますので、
本当にこれはお得な落語会ではあります。


5時半過ぎに会場に着くと、もう既に100人近くの人が並んでいました。
5時45分に開場。場所はホールではなく、7階の大きな会議場でした。
後方に椅子席が若干あって、あとはカーペットの上にござを敷いて、そこに座って見るという形式。
もちろん椅子のほうが楽ですのでそちらが真っ先に埋まってしまい、
わたくしは桟敷席の端っこ、運良く壁にもたれて見られる場所に座ることができました。


本日の出演者とネタは次の通り。(出演順・敬称略。仲入なし)

桂 とま都 「つる」
桂 二乗  「四人ぐせ」
桂 まん我 「ちりとてちん
桂 米二  「除夜の雪」
桂 紅雀  「向う付け」
桂 吉弥  「お玉牛」
桂 しん吉 「二番煎じ」


今回はトリの「二番煎じ」以外、すべてネタの予告なし
すべて噺が始まってからのお楽しみという会でした。
だからたとえば二乗さんの高座なんか、マクラが出た時点で
「二人かな?四人かな?」というワクワク感が(笑)。


これだけ本格的なネタを7席も聴けて、1300円と聞けば確かにメチャ破格なんですが・・・
正直ちょっと、忙しかったです(笑)。
開演が6時15分、終演は8時半過ぎでした。
2時間20分で7席ですから、一人平均20分なわけで。
確かに勉強会ですし、マクラははしょってしゃべればいいんですけど、
それでも多少忙しかったような。


例えば米二師匠の「除夜の雪」。
米朝師匠のがニコニコにアップされていますが(こちら)、
擬古典の新作落語で、米朝師匠が手がけて今や古典と同様に語られているネタです。
前半は生臭い坊主の話ですが、中盤から思わぬ展開を遂げて最後は切ないサゲ。
米二師匠のはさらに後家の嫌味ごとを付け加え、聴く者の情をさらに揺さぶって、
見事な悲喜劇に仕上がっているのですが・・・
それだけに、20分はちょっと短すぎたかも。
終盤はやっぱりしんみりと、たっぷり間を取ってしゃべる時間があれば、
本当に絶品のネタになるんだと思います。
「限られた時間内でどこまで伝えられるか」というのが「勉強会」の目的の一つなのかもね。


そんなしんみりした「除夜の雪」を聴いた直後に、
紅雀さんが実に能天気なお葬式のお話(笑)。
もうこれが最高!ナイス出番順、ナイスネタ選択です。


最近の若手落語家さん、それぞれ本当に研究熱心で、一生懸命に芸を研鑽してることがよく解るんですが、
それだけに、アホの役を底抜けにアホに演じきれないという傾向があるように思います。
どこかしらに噺家さんの計算が見え隠れしちゃうような。


その点で言えば、紅雀さんのアホが、
今の上方では最もアホらしく見えるんじゃないだろうか?
(もちろん最大限に褒め言葉です。)
先月のめいぷるで「池田の猪買い」、NHKの上方演芸ホールで「米揚げ笊」を聴きましたけど、
本当に彼の演じるアホが、あまりにも罪がなさ過ぎて、心の底から笑えてしまいます。
もちろん、それが紅雀さんの計算ずくで演じられていることは百も承知なんですけど、
噺を聴いてる間にはそういうことを全然感じさせない。
師匠とともにいる時間は短かったけど、さすがは枝雀師匠の直弟子だなあと思わせます。


そして、
尼崎市民です。市バスの全部のバス停に落語会の通知が貼ってあって、バス乗りにくい乗りにくい」
とマクラで笑わせて、草原にいさんは何をかけるのかなと思ってましたら、
何と前回めいぷるでまん我さんがかけた「お玉牛」


さすがは吉弥さんですよねえ!
誰から稽古をつけてもらったかは判りませんけど、
ほぼ完全に吉朝一門風のお玉牛」になっています。
やっぱり吉朝一門の皆さんのセンスたるや、すごいです。
同じく尼崎で行われた(?)一門会も即日完売状態だったそうですしね。


全部で7席、超特急で聴くことができて大満足でしたけど、
どこでもいいから一度、同じメンバーでもっとたっぷり時間をかけて落語会が聴いてみたいなあ。


これにて今年の生落語はおしまい。
豊中やら箕面やら尼やら、よそまでわざわざ聴きに行ってばっかりだったので、
来年はエエ加減に地元・天六近くの落語会もおじゃましてみるつもりですよ。